ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
念のため、それから5分後に掃除用具入れから出た。
好きな人と一緒だとしても、約15分もせまい箱の中にいるのは辛い。
新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込んで、やっと息苦しさから解放された。
その後私は敬太に指示されるがままに、静かに椅子に座っていた。
敬太は窓の外を黙って見ていて、時刻が19時半になったところで口を開いた。
「よし、見回りの人、車で帰っていったぞ。
これで校舎内に、俺と霞のふたりだけだ」
その声にはなぜか、楽しそうな響きが感じられた。
私はやりたくないのに……。
敬太を止めることは無理だとあきらめているけれど、ナニカが出て来なければいいのにと願っていた。
そうだ!
願うフリをすればいいんじゃないかな?
敬太を消してほしいと心で願ったフリをして、それでナニカが現れなければ、敬太もあきらめるしかないよね。
急にひらめいた名案に密かに喜んでいたら、敬太がドアの方に向けて歩きながら言った。
「俺、準備の仕上げしてくるから、霞はもう少しだけ待ってて」
「うん」
家から持ってきたらしい懐中電灯を片手に、敬太は教室を出て行った。
すぐに廊下からガタゴトと、机を運び出しているような音が聞こえてきた。