ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
嫌な気持ちでロウソクを見つめる私に対し、敬太は薄く笑いながら炎を見ている。
敬太は面白がっているのだろうか?
これは肝試しなんかじゃないのに……。
それともわざと、そうしているのだろうか?
本当は慶太も怖がっていて、その気持ちをごまかすために無理やり楽しもうとしているのかな……。
敬太の本心が見えなくて、ついジッと見つめてしまう。
すると、私の視線に気づいた敬太に腕を引っ張られて、正面から強く抱きしめられた。
「そんな顔すんなよ……。
大丈夫だから……霞は俺に言われたようにしていれば問題ないから……な?」
唇が重なった。
髪の中に敬太の左手が潜り込み、鷲掴むから顔を背けることができない。
強引で荒々しいキスに、愛情が込められているのだろうかと疑ってしまった。
やっぱり敬太は、私を好きじゃないのかも。
私を思い通りに動かしたいだけなのかも。
それでも私は敬太の彼女をやめる気はない。
敬太に言われるがままに、ナニカを呼び出したりもしない。
大丈夫、上手くやれば敬太を騙せる。
ナニカに願ったフリをすれば、敬太の彼女をやめなくていいし、怖い思いもせずにすむはずだよ。きっと……。