ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜



苦しそうに喘ぎながら、真斗が鳥居を潜る。


元は鮮やかな朱色であったであろう鳥居は、何年も塗り直していないみたいで、薄汚れて黒ずみ、まるで血液みたいな不気味な色に見えた。


私も真斗に続いて鳥居を潜り、境内までの階段を上っていく。


階段の段数は30くらい。

木々が生い茂る小山を切り開いて建てたような神社だから、階段を上まで上らないと境内の様子は見えそうになかった。



真斗の後ろに付いて、なるべく音を立てないように一段一段踏みしめる。


傾斜の急な古い石の階段は、上るのがちょっと怖い。


10段、15段、20段……。

踏み外さないように気をつけて上っている途中で、気づいたことがあった。


やけに静かだ。

木々の葉の擦れ合う音以外、話し声も物音も聞こえてこない。


あれ?
梨沙の話から絶対にこの場所だと思ったのに、違うの?


そんなの困るよ。

梨沙も分からないのなら、もうどこを探していいのか私には見当もつかないもの。


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