ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
うちの学校の制服を着て、背の高い男性。
そして、ここにいるということは、たぶん飯塚先輩……なのかな?
確信が持てなかったのは、顔が血まみれで分からなかったから。
鼻のある辺りの顔の中心が、不自然に凹んでいるように見える。
そこから大量の血液が流れて、頭の周辺の赤土を黒く変色させていた。
まさか……死んでるの?
飯塚先輩が……死……。
「キャアアアアッ‼︎」
思わず悲鳴を上げて、私はその場に尻餅をついてしまった。
敬太がハッと我に返ったような顔をして振り向き、私に駆け寄った。
「霞は、見るんじゃねぇ」
震える私を正面から抱きしめて、敬太が視界を遮ってくれる。
真斗は私の横に立ち尽くして呆然としているけど、少しして独り言のように呟いた。
「どうなってんだよ……。死んでんのって、飯塚先輩だよな?
まさか、敬太が……」
「違う、俺じゃねぇ!
よく見ろ。俺は返り血も浴びてないし、手も汚れてねぇから。
ここに着いたのはついさっきで、来た時にはあいつは死んでたんだ」