ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
ビクッと肩を揺らして、私は敬太の胸から顔を上げた。
敬太と真斗は、音のした方向へ顔を向ける。
敬太が体を半分ひねって後ろを向いたから、私の視界にはまた飯塚先輩の死体が映り込んだ。
顔面が血まみれで、力なく横たわる屍。
その奥には、賽銭箱と古びた木造のお社。
お社の正面にある両開きの扉が、なぜか開いていた。
ギギギギィと軋む耳障りな音を響かせて、扉はゆっくりと外側に開いていき、全開になって動きを止めた。
どうして、突然開いたの……?
風のせい?
ううん、閉まっているドアを開けるほどの強い風は吹いていない。
それに、神主さんが常駐していない小さな神社のお社だから、扉の鍵はいつも掛かっていそうなものだよね?
じゃあ、誰かが鍵を外して開けたということ?
まさか……飯塚先輩を殺した犯人が中に潜んでいるとか⁉︎
身の危険を感じて、敬太の腕にしがみ付いた。
「逃げなくちゃ!」
「しっ! なんか、様子が変だぞ……」