優しい胸に抱かれて
『合コンってそんなに楽しいか?』
『日下さん、合コン経験ないんですか? 今度3人で行きます?』
『…パス』
『なんで、楽しいですよ?』
日下さんと彼の声が揃って、平っちが膨れた声を出した。
『興味ない。けど、それって持ち帰ったりするわけ?』
『しますよ、そりゃあ』
『知らねぇ女をよく持ち帰れるな? 自分ちか?』
興味ないって言っていた日下さんは別なところに興味を抱いていた。
『ホテル代もったいないから自分ち連れて行きますけど。そのまま付き合うこともあれば一夜限りもあって楽しいですけどね? お二人はそういうのないんですか?』
平っちのどうしようもないプライベートの話の途中で、私は誰かに呼ばれていた。
『柏木ーっ、ちょっと来いよ』
奥の席へ向かおうと立ち上がる。
『お前と違って知らねぇ女は抱けねぇんだよ』
呆れた口調の日下さん。そして、考えたように彼はこう言った。
『まあ、…それも一理あるけどさ、俺は好きな女以外家に入れない』
私は聞こえなかったことにして、呼ばれた方へ駆け寄った。程なくラストオーダーだった。
戸惑って悩むのは、この会が終わってからでも遅くない。まずは、ここを無難にこなすのが私の仕事だった。