彼が嘘をついた
遠藤くんはお肉を咀嚼しながら、ニコニコと私を見つめる。
私は、不自然にならないように、遠藤くんから視線を逸らした。

ヤバイ…
なんか、マズイかも…

そう思ったとき、真由子と楓恋が戻ってきた。

目の前の鉄板には、もうお肉は残っていない。
次のお肉を入れて焼こうかどうか迷っていた。
だけど…、
遠藤くんの側は、もう遠慮したい。

そんなことを思っていると…
隼人くんがきて、私の手を引いて立たせた。
そして、そのまま元の席に連れ戻された。

そこに恵が戻ってきて、
「ちょっと、遠藤くん!
せっかく遥を側に呼んだのに、なんでもっとアタックしないの?」

「いや…。だって…」

恵と遠藤くんが話していると、真由子と楓恋·それにヒロくんが割り込んでいく。

「遠藤くん。
悪いけど遥はダメだよ」

「そうそう。
恵ちゃんも知ってるはずだけど、遥には五十嵐くんがいるんだからね!」

「隼人は、"遥の隣にいてもいい"って俺が認めた奴だ。
悪いけど、2人の邪魔はしないでもらいたい」

そんな風に言われて、すごく恥ずかしい。
思わず隼人くんを見ると、私を見つめる優しい瞳に合ってしまい、胸がドキドキしてきた。

なんだろう…?
戸惑いが大きいけど、すごく安心できるような…そんな感じ。



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