彼が嘘をついた
のぼせるくらい入っていたお風呂から上がると、ちょっとふらついた。

バスタオルを巻きつけた状態で、ハミガキをして髪を乾かした。

それからパジャマに着替えて、ベッドに横になって目を閉じた。

········
·········
··········

普段は寝付きがいい方なのに、今日に限ってなかなか眠れない。
少しアルコールも入っているから、すぐに眠れると思ったのに!

········

どうしよう?
まぶたを閉じると、一瞬だけ触れた五十嵐くんの唇を思い出し、布団の中で身もだえる。

いや…違う!
冷静にならなくちゃ!
五十嵐くんは、お酒が入って酔っていたんだから…
"本気にしちゃダメ"と、自分をたしなめる。

まだ自分が『四つ葉フーズの会長の孫』と言う立場を理解する前は、それなりに"恋"に憧れたりもした。
"キス"にも憧れて、鏡の中の自分とキスをしたりもした。

今日のキスは、そのときのキスとは全然違う。
鏡にした冷たく固い感じではなく、暖かく柔らかい感触を思い出す。
そして、また身もだえる。

そんなことを繰り返しているうちに、いつの間にか眠りについた。




☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

< 66 / 198 >

この作品をシェア

pagetop