彼が嘘をついた
ヒロくんが食べている間、私は自分たちの食器を下げて、温かい緑茶を煎れた。
ヒロくんの前にも出す。

ほとんど食べ終わったヒロくんは、
「ありがとう」
と緑茶を口にした。

「…真由子は一緒じゃないの?」

私も感じていた質問を、五十嵐くんがヒロくんにしてくれた。

「あぁ。
真由子は、近くの蕎麦屋に行くって言ってた」

「…大樹は、一緒に行かなかったのか?」

「さすがに昨日から、外食が続きすぎだし…。
…俺、どれだけ遥の手料理に頼っていたか、やっと分かったよ。
…隼人も、遥に胃袋を掴まれるのも、時間の問題だぞ!」

「そうだな!
今夜の蕎麦と天麩羅と茶碗蒸しで、かなりキテルから…」

「…だろうな。
…俺も、しばらく頑張って自炊するけど、無理そうなときはまた食べに来るから」

「…いいよ。
簡単な物しか用意出来ないけど、それでもよければいつでもどうぞ」

「サンキュ!
じゃあ、帰るから。
隼人、遥のことよろしくな」

「あぁ。気をつけて帰れよ。
また月曜日な」

こうしてヒロくんは夕食を食べて帰って行った。

また玄関に鍵とチェーンをかけてリビングに戻ると、

「遥、紅茶もらえる。
あと、大樹からプリンをもらったから一緒に食べよう!」



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