オトナチック
「その人から杉下くんに伝言を預かっているの。

“お父さんに会って欲しい”って」

そう言った私に、
「はっ…?

それ、どう言うことなんだよ?」

杉下くんは聞いてきた。

「杉下くんのお父さん、去年の秋に脳梗塞で倒れて植物状態になったって」

私がそう言った瞬間、杉下くんは目をそらした。

「当然の報いだろ。

あいつは浮気をして、俺と母親を捨てて他の女のところへ逃げたんだから」

杉下くんは毒づくように言った。

「今さら会いに行けって?

頭がおかしいにも程があるよ。

何で俺が別れた父親のところへ会いに行かないといけないんだよ」

そう言っている杉下くんの声に怒りが滲んでいた。
< 205 / 326 >

この作品をシェア

pagetop