オトナチック
せっかくの夕飯は、とても気まずかった。

浮気をした父親が悪いとは言え、彼は自分の息子のことを申し訳ないと思っていた。

思っていたから、うわ言のように泣きながら“和泉、ごめんな…”と言っていた。

今は植物状態で済んでいるけれど、いつ死んでしまうかはわからない。

もしかしたら、今日の夜にでも…。

そう考えてしまったら、なおさら杉下くんと父親を会わせないといけないと思った。

夕飯の後片付けを終えると、
「ねえ、杉下くん」

ソファーのうえに座ってテレビを見ている杉下くんに声をかけた。

「何だ?」

テレビに視線を向けたまま聞いてきた杉下くんに、
「本当に、お父さんに会いに行かないの?」

私は言った。
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