オトナチック
「土曜日?

特に予定は入ってないけれど、何かあるの?」

私は首を傾げた。

「その日、ばあちゃんの見舞いについて行ってくれないか?

高浜のことを婚約者だって紹介したいから」

杉下くんはそう言った後、私から目をそらすようにうつむいた。

その時がきたのだと私は思った。

偽装だとは言え、私は杉下くんの婚約者である。

「わかった」

首を縦に振ってうなずいた私に、杉下くんはうつむいていた顔をあげた。

「その日、ちゃんと予定を空けておくね」

そう言った私に、
「頼んだぞ」

杉下くんが返事をした。
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