オトナチック
カバンの中にもらったばかりの合鍵が入っていることを確認すると、マンションを出た。

駅へと足を向かわせながら、私はさっきまでの出来事を振り返った。

そうだよね。

杉下くんの婚約者を演じるのは、彼のおばあさんの前だけだもんね。

「――いよいよ、か…」

呟いた後、私は息を吐いた。

今週の土曜日に私は婚約者として、杉下くんのおばあさんのお見舞いに行く。

ちゃんと演じることができるかな?

もし間違ってボロを出してしまった場合、杉下くんは上手にフォローをしてくれるのだろうか?

「と言うか、私がボロを出さないように気をつけようって言う話だよね…」

間違っても余計なことは言わないようにしようと、私は心に決めた。
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