黄金と四聖獣
そして数時間後、私たちは西の森の中の
大きな木の影から、少し開けた草原の様子を
伺っていた。
「…誰も、居ないみたいに見えますけど…」
そうエーラが言う。
「あぁ、だが西の森にある洞窟っていうのはあれのことだろう?山賊の縄張りなんて言っていたが、今まで一人とも出くわしていない…居るとしたらこの辺にいると思うんだが…」
シオン様は用心深く辺りを見渡して
訝しげに眉をひそめていた。
その時、ヒュンっと風を切る音がして
私もエーラもシオン様もそれに反応した。
一番速かったのはエーラだった。
剣を抜くが早いか飛んできた弓矢を切り裂いた
すると、それを合図とするかのように
洞窟の岩場の影から次々とガタイのいい男達
が走り出てきた。
「…シオン様の予想通り、居ましたね」
と言うと、シオン様は
「本当に居なければよかったんだがな」
と、少し残念そうに言った。
「…」
やけに静かだとエーラの方を見ると
弓矢を放った男の方を怪訝そうに見つめていた
「ここに足を踏み入れるとは大した度胸だ。後悔させてやる!」
と、一人の男がこちらを見ていう。
その言葉に、私もエーラもシオン様も武器を
構えた。
…緊張感がただよう。
敵は30ぐらいだろうか…
常人なら、3対30なんて挑むべきじゃないのだ
けど…
シオン様は勿論、エーラも常人よりはるかに
強い…
ただ…
エーラは優しすぎるから、少しつめが甘い
のかもしれない…
と思った。