黄金と四聖獣
1日ぶりの昼間の外に、クオンが嬉しそうに
飛び回る中、宿が見えなくなってから
ゼンは終始無言で歩いていた。
「…ゼン?」
そう私が声をかけると、
「あ?」
とだけ返事が返って来る。
こちらを向いたゼンの表情が晴れているのを
見た私は、笑って
「ううん、なんでもない」
と言った。
「…何なんだよ」
ゼンは顔をしかめて前を向き、再び歩き出す。
無言なのは、女将さんと離れたくなかったから
という訳ではなさそうでよかった。