黄金と四聖獣
これから剣を振るって戦わなければならない。
そう思った瞬間、すっと見える景色が
変わった気がした。
いつもよりもより鮮明に遠くまで。
そして、動きが少し、遅く見える気さえした。
エーラの方には、次々に斬りかかっていくが
私の方に来た兵たちは、私の顔を見て
怯えた顔をした。
「お…黄金の瞳…」
兵のひとりが私の顔を見てそう呟き後ずさる。
怯えている相手を斬るのは少し躊躇われ、
回し蹴りをしてほかの兵の方に蹴り飛ばす
だけにした。
その時、横から刀を振り上げた兵が迫って
来ていたのに、反応が少し遅れてしまった。
すると、どこからともなく弓矢が兵の首に
命中して、兵は崩れ落ちた。
矢が放たれたほうを振り返ると、
高い木の枝の上、赤い髪が美しく揺れていた。
「フィアネ…」
あのか弱そうな少女が武器など扱えたのかと
私は驚いた。