【短編】「言わせてやろうか、好きだって」
「…ねえよそんな癖」
そう言ってバツが悪そうに目を泳がせる珍しく隙だらけの翔平がなんだか可愛くて、つい笑ってしまう。
「ねえ誰なの?幼なじみのよしみで教えてよ」
「だから…」
「翔平ってそういう話私にしてくれたことないじゃん、私はなんでも話してるのにさ〜」
「お前が勝手になんでもかんでも話してくるだけで俺は聞きたいなんて一言も言ってねえよ」
「何その言い方!それじゃまるで私が勘違いバカみたいじゃん!」
「まるでも何も正真正銘の勘違いバカだろお前は」
…真顔でそんなことを言い放つこの悪党を一瞬でも可愛いと思ってしまった私は、確かに勘違いバカかもしれない。