名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
「でも、一日あいてるよ」


ちゃんと手帳を確認してからもう一度申告すれば、ふうん、と気のない返事が返ってきた。


……興味がないなら、最初から聞かないで欲しい。


若干ダメージを受けつつ、質問する。


「なんで?」

「……なんでって」


視線を横に向けて口をへの字に結んだそうちゃんは、むすりと呟いた。


「時間あるならさ、この後映画とかどうかな、と思って」


え。


固まったのは、暗いのが怖いからじゃなくて、嬉しさが混じった驚きからだ。


わたしは近くに人がいる気配があれば暗がりも怖くないので、映画館の暗さは大丈夫。


小さい頃に何度か家族ぐるみで一緒に映画を観たことがあって、そうちゃんもそれは知っている。


上に映画館あるらしいから、と付け足したそうちゃんに、言い募る。


「行く! 行きたいです!」

「……そ?」

「うん!」


猛烈に頷くと、小さく噴き出された。


「……ん」


ふわり、その目が弧を描く。


緩んだ口元で相槌を打ったそうちゃんは、破顔したままでスマホを操作して、画面を私に向けた。
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