名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
「そうちゃん?」

「…………」


そうちゃんは何も答えない。


わたしの手を引いて、すたすた歩き。


すたすたとわたしの家を通りすぎてしまって、焦る。


「そうちゃんってば、ねえ」


呼びかける度に、ぎゅ、と握る手に力がこもる。


すたすた、すたすた。


半ば予想していたことではあったけど、そうちゃんの家に着いてしまった。


む、無理無理、そうちゃんの家とか耐えられない、無理……!


そうちゃんの家に、お隣の家に行きたいとは思っていた。

あわよくば、そうちゃんの部屋にお邪魔したいなあなんて、思っていた。


でも。


何の話題もなく、何の前準備もなく、どうしてなのかも分からない状態では行きたくない。

行けない。

まして、手を繋いだままなのに。


困る。混乱する。


混乱、する。


玄関に向かったそうちゃんが扉を開けた。


荒い悲鳴を飲み込む。


「そうちゃん、ねえ、手離して……!」
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