名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
ぽつりとまた呼ばれる。


「……みい」

「うん」


震えた声。

くしゃくしゃの顔。

下がった眉。


「みい……」

「うん」


——みい。

ねえ、みい。


そうちゃんは言い聞かせるように何度も呼んだ。


わたしにも、自分にも、言い聞かせるように。


お互いに慣れきって、新しい呼び名が自然になるまで。

お互いの間でわたしがちゃんと、美里からみいになるまで。


低く、何度もわたしを呼んだ。


心なしか照れがにじむその全てに、うん、と短く返事をする。


相槌を打たなかったら、そうちゃんは呼ぶのをやめてしまうと思った。


きっとわたしはまた、みいから美里に戻ってしまうと思った。


「みい」

「うん。なに、そうちゃん」


そうちゃんと呼ばれたことに、さらにくしゃくしゃになって、きつく唇を引き結ぶ。


湿った呼吸を繰り返し。


「……わら、わないでほしいんだけど」

「うん。絶対笑わない」


こぼれたのだろう前置きに、一瞬そうちゃん自身が怯んで、わたしの即答に口元を緩める。


ゆっくり目を伏せて、そっと上げたそうちゃんの顔は、真っ赤だった。


「……話が、あるんだ」
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