名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
「っ」


うん、とおんなじように相槌を打とうとしてやめる。


おんなじじゃ、駄目だ。


相槌を打ったらきっと、話すのをやめてしまう。相槌を打っちゃ駄目だ。


黙って見つめた先で、綺麗な切れ長の瞳がわたしを映した。


「俺は、みいの幼なじみで。……幼なじみ、なんだけど、でも」


密かにわななく薄い唇から、遠回りな言葉がどんどんこぼれてくる。


でも、とか、けど、とか逆接をいくつか言い、そんな自分に弱り果てたように、ぐっと唇を引き結んで一旦とめて、そうちゃんは赤みの増す顔で慎重に口を開いた。


「だから、あの、……つまり」


しばらく細い吐息ばかりがこぼれる。


言葉を探すみたいな湿った呼吸に、わたしも一緒になってそっと息を飲み込む。


口を開き。

引き結び。

わななき。

引き結び。

口を開き。固く拳を握って。


そうちゃんはようやく、強張る口を動かした。


「……好きなんだ。俺の彼女になって欲しい、です」
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