雪見月
「手を」
小さなその手に俺の手を重ねて、両手で引っ張ってもらう。
とても温かい手だった。
……この短時間でどんだけ人恋しくなってんだ、俺。
なんて、思わず突っ込みたくなるくらいに優しくて、伝わる鼓動と体温に安堵する。
左足がずるりと滑りそうになるが、何とか堪えて力を込めた。
「立て、た」
力が入らない左足をかばいながら踏みしめた靴の裏に、確かな感触――固いアスファルト。
何気なく過ごす毎日では気に留めない些細な実感が、無性に嬉しかった。
やった、立てた。
立てた……!
これでどうにか帰る目処は付いた。
歩くのはもちろん辛いだろうが、とにかくやっと帰れる。
帰れる。
歓喜はじわじわとやって来た。
そろそろ冷えて限界が来そうだったから、さっさと帰って熱い風呂に入って、一刻も早くぬくぬくと寝たい。
安心したら笑みが漏れた俺を認め。
「良かった」
ゆるりと笑った彼女が、安堵して、目を細めた。
小さなその手に俺の手を重ねて、両手で引っ張ってもらう。
とても温かい手だった。
……この短時間でどんだけ人恋しくなってんだ、俺。
なんて、思わず突っ込みたくなるくらいに優しくて、伝わる鼓動と体温に安堵する。
左足がずるりと滑りそうになるが、何とか堪えて力を込めた。
「立て、た」
力が入らない左足をかばいながら踏みしめた靴の裏に、確かな感触――固いアスファルト。
何気なく過ごす毎日では気に留めない些細な実感が、無性に嬉しかった。
やった、立てた。
立てた……!
これでどうにか帰る目処は付いた。
歩くのはもちろん辛いだろうが、とにかくやっと帰れる。
帰れる。
歓喜はじわじわとやって来た。
そろそろ冷えて限界が来そうだったから、さっさと帰って熱い風呂に入って、一刻も早くぬくぬくと寝たい。
安心したら笑みが漏れた俺を認め。
「良かった」
ゆるりと笑った彼女が、安堵して、目を細めた。