となりの専務さん
ゆっくりと顔を上げ、

「専務……?」

と問いかけると。


「……すごいね」

「え?」

専務は無表情で私の顔をまじまじと見ながら。


「すごいね。これだけ泣いてるのに全然アイメイク落ちないね。さすがうちの会社の商品」


……と、言った……。



「……い、今それは関係ないでしょう!」

思わず、ピシャリとツッコミしてしまった。相手は上司なのに。
でも、今のは専務が悪い。私は必死に告白してるのに!


「自覚がないかもしれませんが、専務は時々Sっぽいです……」

私が弱々しく専務にそう抗議すると。


……専務は小さくほほえんで。



「自覚ならあるよ」

「え?」

専務は私の右手を取って、私の体を専務の方へ、軽く引き寄せた。

そして。


「たまに天然だって言われることはあるけど、君への意地悪は自覚あるよ」

「はい……?」

「かわいい子には、意地悪言いたくなるんだ」

私の顔をまっすぐに見つめながらそう言う専務の瞳はとてもキレイで。
至近距離で大好きな人のキレイな目を見たら、たとえフラれる寸前だとしても、意地悪を言われている最中だとしても、女の子なら誰でもドキッ……としてしまうと思う。

かわいい、なんて言われたら……尚更……。


「あ、でも」

「? なんですか?」

専務はなにかに気づいたような表情で。


「ハヅキのこともかわいいと思ってるけど、ハヅキには意地悪しようとは思わないなぁ」

専務の言葉が、私の胸にグサッッ‼︎と刺さる。
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