となりの専務さん
部屋に入ると、テーブルの前に座ってもらって、お茶を出した。


「紅茶とかなくてすみません。ちょうど切らしてて」

「いえ! とんでもないです! 私こそ急にすみません」

葉津季さんはそう言ってパコリと頭を下げた。


……とってもお金持ちのお嬢様、っていうイメージがあったけど、いや、それは間違ってないと思うんだけど、礼儀正しくて雰囲気のいい人だな〜。


「あ、私、ちゃんとごあいさつしていませんでしたね。相馬 葉津季といいます。よろしくお願いします」

「あっ、こちらこそよろしくお願いします」

お互い頭を下げて、あいさつして、再び頭を上げると、ちょうど目が合った。

すると葉津季さんは。


「……涼ちゃんと付き合ってるんですよね?」

「‼︎?」

突然、恥ずかしいことを言われ、顔がカッと熱くなる。


「な、なななんで知ってるんですか……!」

「涼ちゃんから聞いたんですよー」

葉津季さんはえへへと笑う。笑顔がかわいい。


「涼ちゃんとは、時々会ってますから。その時にノロケを聞いたり」

「ノ、ノロケ⁉︎ ノロケるようなことはなにもないですよ……! 専務が忙しくてデートもあまりしてませんし!」

「え? でも寝顔がかわいいとか、笑顔に癒されるとか、ノロケですよね?」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」

ウソ、専務、葉津季さんにそんなこと話してるの⁉︎ そりゃぁ、私にも時々『かわいい』とかは言ってくれるけど、まさか専務の性格的に、外で話してるとは思わなかった……! たぶん葉津季さんにだけだろうけど!
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