となりの専務さん
「長野って」

歩きながら、専務は言う。

「景色はいいし、風も気持ちいいけど、思ったよりは暑いんだね。いつかの夏に個人的に来た時はもう少し涼しかったと思ったけど」

「前に行ったのは軽井沢とかですか?」

「うん。よくわかったね」

「軽井沢は避暑地だから涼しいですよね。でもほかの土地は、軽井沢ほどは涼しくはないんですよ。案外普通に暑いです。でもやっぱり、東京よりは涼しいですね。じめっとした暑さもないし、カラッとしたさわやかな暑さな気がします」

「ああ。それはわかるな」

「専務は、夏と冬はどちらがお好きですか?」

「どちらかと言えば冬かな。スキー好きだし」

「えー! そうなんですね! ていうかスキーされるんですね! すごい‼︎」

「すごいって……長野県の人ってみんなスキーできるんじゃないの? 冬になれば雪積もり放題でしょ」

「いや、私長野県じゃないですし。長野県民だとしても、長野県民がみんなスキーできるわけじゃないと思いますよ。この辺りの学校は授業でスキーはあるっておじいちゃんとおばあちゃんが言ってましたけど」

「へぇー」

「広香は夏と冬、どっちが好き?」

「私は夏が好きですね。海が好きなんです」

「長野県は海ないね」

「そうですね。でも山も好きです。だから子どもの頃から学校が夏休みになると数日間こっちに遊びに来てましたけど、いつもとっても楽しかったです。あと遊びに行った思い出は……あ!」

いいこと思いついた!

「動物園に行きませんか⁉︎」
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