となりの専務さん
しばらくして、山の上に到着する。
ゆっくりと降りて、私たちは自然と下界を見下ろす。


「わぁ……すごいね」

「はい、キラキラしてますね」

本来なら、広大な景色や自然を見るためのロープウェイ。でも、時間的に外は暗くて、景色はあんまり見られなかった。ロープウェイも最終の登り便だったみたいだし。
だけど……夜景がとてもキレイだった。街並みがキラキラしていて眩かった。


「だけど、せっかくだから明るい時に山とか丘とか、そういう自然の景色も専務に見ていただきたかったです。夜景もキレイですけど、夜景なら東京の方がすごいですし」

私がそう言うと、専務は「東京よりキラキラしたもの、ちゃんと見れたよ」と言った。
私が「え?」と聞き返すと。

専務は人差し指を上方向に立てた。


「すごいね。俺、こんなの初めて見たよ」

専務の指が差す方向ーー夜空に顔を向けると。


「星……」

そこには、満天の星空がキラキラと輝いていた。


「すごい……こんなキレイな星、私もひさしぶりに見ました」

「東京だと星が見えにくいからね」

「はい。でも今夜はとくにキレイな気がします」

前に、おじいちゃんおばあちゃんの家の庭から見た星空より、ずっとキレイに見えた。
もしかしたらとなりに専務がいるからかもしれない、なんてベタなことを思った。

……でもほんとに、となりに専務がいると、なにもかもがキラキラした景色に見えることがあるんだ。
となりに専務がいると、心も軽くなる。

いつもありがとうございます。となりの、専務さん。
< 191 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop