となりの専務さん
結局、完済してからも専務にはなにも言えないまま、一週間が経った。
借金がなくなったということ以外は、いつもと変わらない日々だった。
「広香〜」
夕方、仕事にひと段落ついた頃、大樹くんが自分のデスクからとなりの席の私に話しかける。
「なに?」
「今日の夜ヒマ?」
「今日の夜?」
「合コン行かね?」
「合コン⁉︎」
話を聞くと、大樹くんは今晩予定されてる合コンの幹事をしていて、女性がひとり急に来られなかったから、代わりに誰か来られる人を探しているらしい。
「いや……私はちょっと……」
「えー。合コンだし、金なら女子からはそんなに取らないって」
「いや……お金のことはまぁいいんだけど……」
専務が今、私のことをどう思ってるかなんてわからない。なんとも思ってない可能性の方が高い。
でも、私は専務のことが好きだから。
「大樹くんっ! その合コン、広香ちゃんが行かないなら私が行ってもいい⁉︎」
「おお鹿野さん! 全然いいですよ!」
「もうさ、璃恵ちゃんが係長とくっついてから私と遊んでくれないんだもん! 私の方が年上だからさすがに焦るし!」
大樹くんと鹿野さんのやりとりを聞きながら、私は仕事を再開しようとパソコンに向き直る。
月野さんと係長は、二ヶ月前くらいに急に付き合うことになった。
月野さんが何度もアタックしてようやく付き合えることになったらしいって後から聞いた。
月野さんも係長も、幸せそうに働いている。
月野さんが、何度も何度も自分の気持ち正直になり続けたから今の幸せがあるんだろうな。
……私は、自分の気持ちにウソをつき続けてるなあ。
借金がなくなったということ以外は、いつもと変わらない日々だった。
「広香〜」
夕方、仕事にひと段落ついた頃、大樹くんが自分のデスクからとなりの席の私に話しかける。
「なに?」
「今日の夜ヒマ?」
「今日の夜?」
「合コン行かね?」
「合コン⁉︎」
話を聞くと、大樹くんは今晩予定されてる合コンの幹事をしていて、女性がひとり急に来られなかったから、代わりに誰か来られる人を探しているらしい。
「いや……私はちょっと……」
「えー。合コンだし、金なら女子からはそんなに取らないって」
「いや……お金のことはまぁいいんだけど……」
専務が今、私のことをどう思ってるかなんてわからない。なんとも思ってない可能性の方が高い。
でも、私は専務のことが好きだから。
「大樹くんっ! その合コン、広香ちゃんが行かないなら私が行ってもいい⁉︎」
「おお鹿野さん! 全然いいですよ!」
「もうさ、璃恵ちゃんが係長とくっついてから私と遊んでくれないんだもん! 私の方が年上だからさすがに焦るし!」
大樹くんと鹿野さんのやりとりを聞きながら、私は仕事を再開しようとパソコンに向き直る。
月野さんと係長は、二ヶ月前くらいに急に付き合うことになった。
月野さんが何度もアタックしてようやく付き合えることになったらしいって後から聞いた。
月野さんも係長も、幸せそうに働いている。
月野さんが、何度も何度も自分の気持ち正直になり続けたから今の幸せがあるんだろうな。
……私は、自分の気持ちにウソをつき続けてるなあ。