となりの専務さん
私も、驚いてしまった。まさか専務が、私と別れたあと、あれだけオリが合わないと言っていた社長に私のことをそんな風に話しに行ってくれていたなんて。

社長は続けた。

「あの子は……涼太は、昔からどうもひねくれててね。頭がよかったのもあり、子どもの頃は自分以外の周囲の人間はみんなバカだと思ってたみたいでね」

「そう……なんですか」

子どもの頃にそんな考えをもっていたなんてちょっと驚きだけど……専務はどこか冷めたようなところもあったし、誰かとつるむタイプでもなかったから、つい納得してしまった。


「だけど、葉津季ちゃんとは昔から仲がよくてね。たぶん、葉津季ちゃんのことを妹みたいに……家族みたいに思っていたからなんだろうけど。それでも、涼太が心を許す数少ない子だったから、涼太のためにも涼太と葉津季ちゃんに結婚してほしいと思ってたんだ」

「え……?」

あれ、おかしいな。なんか、それだと……。

「疑問があるなら、なんでも聞いていいんだよ。せっかくふたりきりなんだから」

そう話す社長は、私が言いたいことをすでにわかってるって感じの笑顔をしていらした。


「あの……専務と葉津季さんの結婚は、この会社の繁栄とかのために社長が決めたって伺っていたので……。その、今のお話だと、会社のこととかは関係なく、社長が、純粋に専務のために葉津季さんとの結婚を決めたって感じがして……」

私がそう聞くと、社長はふふ、と笑った。やっぱり、社長にとって予想通りの質問だったみたいだなと感じた。
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