となりの専務さん
「あの子はね、他人に興味がなかったくせに、誰かのことを本気で好きになれない自分を気にしていたみたいでね」
「専務がそんなことを言ったんですか?」
「言ってないよ。でもわかるんだ。昔の私そっくりだし、なにより一応父親だからね。あの子には随分嫌われているけれど」
父親。社長は専務のお父さんなのだから、それは当たり前のワードなのだけれど。
でも、ふたりの関係は、今まで正直、あまり“親子”には見えなかった……。だから、社長が自分のことを『父親』と言ったことに対して、不思議な感覚がした。
少し変わっているけれど、専務と社長は普通の親子で……社長は専務のことを……。
「話は戻るけど、そんな風に気にしていた涼太は、一時期は来る者拒まず……って感じでね。誰かに告白されては付き合って、告白されては付き合って……って。もちろん、相手のことを好きじゃないのに」
「……」
「社会人になってからもそれはそれ変わらなくて。あいつと付き合っては別れていく女性社員もたくさんいてね。あいつがいつかちゃんと誰かを好きになれるなら……と思って黙って見ていたけれど、だんだん見ていられなくなって、どうせ誰も好きになれないなら、葉津季ちゃんと結婚して、これ以上は誰とも付き合うなと言ったんだ。冷たい言い方なのは承知だったけどね」
「そう、だったんですね……。そういえば、専務は自分に告白してきた女性社員の方たちとのいざこざとかで、社長に注意されたって言っていました。それはそのことだったんですね。でも、その時は専務は、自分に告白してきた相手と付き合っていたとは言っていなかったんですが……」
「私が注意してからは誰とも付き合わなくなったんだよ」
「なるほど……」
専務にも、いろんな過去があったんだな。それは当たり前だけど……。
社長は、それをずっと見てきたんだ。専務が社長に自分のことを話したかどうかはわからないけど、いやたぶん話さなかったんだろうけど、社長はそれでも気づいていたんだ……親子だから。
「専務がそんなことを言ったんですか?」
「言ってないよ。でもわかるんだ。昔の私そっくりだし、なにより一応父親だからね。あの子には随分嫌われているけれど」
父親。社長は専務のお父さんなのだから、それは当たり前のワードなのだけれど。
でも、ふたりの関係は、今まで正直、あまり“親子”には見えなかった……。だから、社長が自分のことを『父親』と言ったことに対して、不思議な感覚がした。
少し変わっているけれど、専務と社長は普通の親子で……社長は専務のことを……。
「話は戻るけど、そんな風に気にしていた涼太は、一時期は来る者拒まず……って感じでね。誰かに告白されては付き合って、告白されては付き合って……って。もちろん、相手のことを好きじゃないのに」
「……」
「社会人になってからもそれはそれ変わらなくて。あいつと付き合っては別れていく女性社員もたくさんいてね。あいつがいつかちゃんと誰かを好きになれるなら……と思って黙って見ていたけれど、だんだん見ていられなくなって、どうせ誰も好きになれないなら、葉津季ちゃんと結婚して、これ以上は誰とも付き合うなと言ったんだ。冷たい言い方なのは承知だったけどね」
「そう、だったんですね……。そういえば、専務は自分に告白してきた女性社員の方たちとのいざこざとかで、社長に注意されたって言っていました。それはそのことだったんですね。でも、その時は専務は、自分に告白してきた相手と付き合っていたとは言っていなかったんですが……」
「私が注意してからは誰とも付き合わなくなったんだよ」
「なるほど……」
専務にも、いろんな過去があったんだな。それは当たり前だけど……。
社長は、それをずっと見てきたんだ。専務が社長に自分のことを話したかどうかはわからないけど、いやたぶん話さなかったんだろうけど、社長はそれでも気づいていたんだ……親子だから。