となりの専務さん
社長は言った。
「涼太が子どもの頃から、涼太のああいう性格をずっと心配してきてね。昔から結構厳しくは育てていたんだ。将来のこともあるしね。でも、妻が亡くなってから、私も精神的に落ち着けなかった時期があってね。その頃はとくに涼太に厳しくしてしまっていたと思う」
「……っ」
「涼太が心を許せるのは、やさしい妻と、あの子の姉と、そして葉津季ちゃんくらいだった。
妻が亡くなり、あの子の姉も嫁に行き、残ったのは葉津季ちゃんだけだった。私は今さら涼太に歩み寄れなくなっていたし、そんなことをしても涼太も迷惑だろうと思った。だから余計に葉津季ちゃんを側に置いておきたかったんだ。あの子をひとりにさせないために」
「そんな事情が……」
「葉津季ちゃんにほかに好きな人ができてしまったのは仕方ないけどね。葉津季ちゃんも涼太のことが好きだと思っていたんだよ。葉津季ちゃん、実はずっと男性が苦手で、涼太が唯一の普通に話せる男性だってずっと言っていたから。今思えば、葉津季ちゃんにとっても、涼太は異性じゃなくて兄みたいなものだったのかもね」
そう……なのかもしれない。
初めて葉津季さんを見た頃は、葉津季さんと専務の仲を疑ったりしていたけど……専務が役職を外されるかもしれないっていう話を私にわざわざ言いにきてくれた葉津季さんは、専務のことを、本当の家族のように心配していたと思う。
お姉ちゃんが、私のことをいつも心配してくれてる時と、似てた。
葉津季さんは私と専務のことを心配してくれていたけど、なによりも専務のことが心配だったんだろうな。
「涼太が子どもの頃から、涼太のああいう性格をずっと心配してきてね。昔から結構厳しくは育てていたんだ。将来のこともあるしね。でも、妻が亡くなってから、私も精神的に落ち着けなかった時期があってね。その頃はとくに涼太に厳しくしてしまっていたと思う」
「……っ」
「涼太が心を許せるのは、やさしい妻と、あの子の姉と、そして葉津季ちゃんくらいだった。
妻が亡くなり、あの子の姉も嫁に行き、残ったのは葉津季ちゃんだけだった。私は今さら涼太に歩み寄れなくなっていたし、そんなことをしても涼太も迷惑だろうと思った。だから余計に葉津季ちゃんを側に置いておきたかったんだ。あの子をひとりにさせないために」
「そんな事情が……」
「葉津季ちゃんにほかに好きな人ができてしまったのは仕方ないけどね。葉津季ちゃんも涼太のことが好きだと思っていたんだよ。葉津季ちゃん、実はずっと男性が苦手で、涼太が唯一の普通に話せる男性だってずっと言っていたから。今思えば、葉津季ちゃんにとっても、涼太は異性じゃなくて兄みたいなものだったのかもね」
そう……なのかもしれない。
初めて葉津季さんを見た頃は、葉津季さんと専務の仲を疑ったりしていたけど……専務が役職を外されるかもしれないっていう話を私にわざわざ言いにきてくれた葉津季さんは、専務のことを、本当の家族のように心配していたと思う。
お姉ちゃんが、私のことをいつも心配してくれてる時と、似てた。
葉津季さんは私と専務のことを心配してくれていたけど、なによりも専務のことが心配だったんだろうな。