となりの専務さん
「涼太さんの夢はなんですか?」

中野さんと凛くんが夢を追いかけてることを考えたら、涼太さんの夢も聞きたくなった。


「え? なに急に……。そりゃあ、会社を大きくすることと、広香を幸せにすることだよ」

「……私はもう幸せですよ」

私がそう言うと、涼太さんは右手の人差し指で私の唇に軽く触れた。


「……いっしょにいられるだけで幸せです、なんて君はよく言ってくれるけど、そういうんじゃなくて。……借金がある時になにもしてあげられなかったから、今度はちゃんと、幸せにしたい」

「そんな…….なにもしてくれなかったなんてことないです。元はと言えば私が涼太さんを遠ざけてしまったんだし、別れたとはいえ涼太さんの存在があったからがんばれたんです」

「……それでも」

言葉の途中で、涼太さんは私にやさしくキスをして。

「……それでも、俺にできることはなんでもしたい」

と、言葉を紡いだ……。


「……恥ずかしいです」

「え? クサかった?」

「いえ……うれしいです。うれしいですが、単純にドキドキしてしまって」

好きな人からそんなうれしいことを言われたら、ドキドキしない女性はいないと思うけどね……。



「……でも」

それでも、なんか違った。
普通の女性なら純粋に喜べたと思うけど……私の場合は……。


「これ以上、幸せにしてもらいたいなんて、やっぱり思えないです」

「なんで?」
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