となりの専務さん
「お金のことならべつにどうってことないのに」

「ど、どうってことなくないです!」

私は相変わらず動揺して、でも私にしては珍しく自分の意見をしっかり伝えてもいた。

「今言ったばかりじゃないですか! 人の好みは様々なんですから、私の意見だけで決めないでください! 私だったらカレーの材料選ぶのだってもっと時間かけますよ!」

「カレーの材料なんて、にんじんとじゃがいもと玉ねぎ買うだけじゃん」

「重さとか大きさとか形とか色とか値段とかいろいろ見るところあるじゃないですか! 特に値段! 専務はお金の使い方が大胆すぎます‼︎」

二千円のケーキを三つ買ってきてくれたことも驚いたけど、さすがに今の買いものの仕方は驚きを超えた衝撃があった。


すると専務は。

「だってどの服もかわいいって言ったじゃん」

「私はね⁉︎ 実際プレゼントされる人がどう思うかなんて……」

「いいんだよ。君へのプレゼントだから」

「え?」

「だから、君へのプレゼント」

専務の言葉を理解するのに、数秒かかってしまった。


「私への、プレゼント……ですか?」

「だからそう言ってるじゃん」

「な、なんでですか⁉︎ 先日、えこひいきにならないように、ってお話したばかりなのに!」

私が専務にそう聞くと。


「だからこれも、上司としてからじゃなく、アパートの隣人としてからのプレゼントだから気にすることはなにもない」

「どこの世界にアパートの隣人にここからここまで全部、の洋服をプレゼントする人がいるんですか! いただく理由がありません!」
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