となりの専務さん
「すっ、すみません!変なこと言ってしまって!
で、でもその、本当に顔も肌も声もすべてキレイですし、だから、あの、はっ!」

……変なことを言わないようにしなきゃと思っているのに、焦れば焦るほど変なことを言ってしまう。


ああ。臨機応変に対応できないというか、こんな性格、本当に困ってしまう。



……そんな私の発言に対して、専務は。


「……自分で自分のことかっこいいと思ったことはないけど」

「え」

意外。こんなにかっこいいのに、そしてこれだけかっこよければきっと今までも周りの人から数えきれないくらいに『かっこいい』と言われてきているはずなのに、専務は自分がかっこいいという自覚はないんですね。


「……かっこいいですよ。
でも、それだけじゃないです。やさしいです。専務は」

変なことを言わないようにとは思うものの、これはどうしても言いたくなった。


専務は、やさしい。

私が専務のことを気になってるのは、専務がかっこいいからでもお金持ちだからでもない。


やさしいからです。


……さすがにそこまでは本人には伝えられないけど、私はたとえ専務がかっこよくなくても、私よりお金がなくても、きっと専務のこのやさしさに惹かれた。
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