エリート上司と秘密の恋人契約
プレゼンをする人は明日に備えて今日はもう帰るらしい。

黒坂さんと共に控え室を出ていく和真を追いかけたい衝動に駈られて、足を1歩踏み出すが、さやかさんに腕を掴まれる。


「美弥、気持ちは分かるけど、まだやることがあるわよ」


「もちろん、分かっています」


さやかさんがいてくれてよかった。ここで和真を追うわけにはいかない。

私は胸に手を当て、気持ちを落ち着かせた。

和真がここに現れたからといって、何も変わらない。私たちが別れたという事実は変わらないのだ。

発表会が終わったらまたニューヨークに戻るという和真と話すことは何もない。もし話をするとしても何も言うことはない。

せめて挨拶くらいと思ったけど、それも必要ないと考え直す。


私がそんなふうに和真と関わることをしないでいたのに、和真から近付いてきた。

家に帰って、着ていたジャケットを脱いでハンガーに掛けた時、スマホが鳴った。

和真の文字が表示される。
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