声が聞きたくて
口元を見て、彼が私のことに気がついてくれたことがわかった
私はイヤホンを外し、頭を下げた
「風邪、良くなったか?」
少しだけ距離があって
何故?と思ったけど、
笑顔で、縦に首を振り
指でジェスチャーをした
「そっか、ならよかった」
そう言ってくれた彼の顔が優しくて
見入っちゃうくらい、癒される
「若っ!」
男の人の声が背後からし
振り返れば、さっきビル入口にいた
チンピラ風な男が
こっちに向かって走ってきた
あ……、
逃げな……きゃ
逃げ……な……きゃ……
殺さレル……
お父さんや……お母さん
妹……みたいに……
嫌っ……
来ないでっ……