お帰り、僕のフェアリー
しかし、すぐに、父相手だからか子供のようにぷりぷりと怒ってる自分に気づいて、心を落ち着ける。
「……わかったよ。でも、お見合いは一度だけだからね。」
僕が了承すると、父は、明らかにほっとしていた。
やれやれ。
静稀に何て言おう。
そのまま言ったら、心配するよな。
すぐに不安でいっぱいになってしまう静稀を想うと、僕にはとても話せそうになかった。
また隠し事、しちゃうことになるな。
いつかばれたら、また怒られるんだろうな。
ま、いいや。
その時はその時だ。
僕は、腹をくくった。
その夜遅くに静稀が僕の部屋にやってきた。
「おかえり。」
静稀を迎え入れて、いつものように抱きしめる。
「ただいま。」
僕を見上げる静稀に口づけして、もう一度、ぎゅっと抱きしめる。
「……ふう。」
静稀が僕の腕のなかで、ため息をついた。
「どうしたの?」
お見合いの日取りでも、決まったかな?
「……うん……」
静稀は僕の胸にぐりぐりと頭をすりつける。
「だいじょうぶ?」
「……うん。」
静稀はそのまま黙って、ひたすら僕にしがみついていた。
言いたくないのかな。
……ま、いっか。
僕自身も、めんどくさそうな見合いの話はしたくない。
お互いを信じて、それぞれがんばって断るしかないよな。
僕は静稀の頭や背中を撫でて、静稀の気が済むのを待つことにした。
しばらくして静稀が僕を見上げる。
静稀が僕に何か言いたいのか、何も言いたくないのか……判断できない。
一緒にいるのに、お互いに途方に暮れている。
「……お見合いの話?」
思い切って、聞いてみる。
静稀は、明らかにびくっと肩をふるわせた。
その反応がおかしくて、笑ってしまった僕。
静稀も釣られて少し笑ってから、ほろほろと涙をこぼした。
「東京公演が終わったら、そのまま数日間、実家に帰ることになりました。」
……その数日中にお見合いするんだな。
「わかった。」
「私……。」
「うん。」
「……私……。」
「うん。」
「……ちゃんと断って、セルジュのところに帰りますから。」
静稀が涙に濡れた瞳で、力強くそう言った。
「うん。待ってる。僕も。」
僕も、ちゃんと断って、晴れ晴れと静稀を迎えるからね。
言葉にならない想いを込めて、静稀の額に口づける。
何度も何度も、場所を変えて口づけを続けた。
愛してる。
愛してるよ。
その夜、僕らは、いつも以上に激しく求めあった。
お互いに、そして自分自身に、愛を刻みつけるために……。
翌日からも、静稀は公演後毎日僕の部屋に来ていたが、お互いに一切お見合いの話はしなかった。
「……わかったよ。でも、お見合いは一度だけだからね。」
僕が了承すると、父は、明らかにほっとしていた。
やれやれ。
静稀に何て言おう。
そのまま言ったら、心配するよな。
すぐに不安でいっぱいになってしまう静稀を想うと、僕にはとても話せそうになかった。
また隠し事、しちゃうことになるな。
いつかばれたら、また怒られるんだろうな。
ま、いいや。
その時はその時だ。
僕は、腹をくくった。
その夜遅くに静稀が僕の部屋にやってきた。
「おかえり。」
静稀を迎え入れて、いつものように抱きしめる。
「ただいま。」
僕を見上げる静稀に口づけして、もう一度、ぎゅっと抱きしめる。
「……ふう。」
静稀が僕の腕のなかで、ため息をついた。
「どうしたの?」
お見合いの日取りでも、決まったかな?
「……うん……」
静稀は僕の胸にぐりぐりと頭をすりつける。
「だいじょうぶ?」
「……うん。」
静稀はそのまま黙って、ひたすら僕にしがみついていた。
言いたくないのかな。
……ま、いっか。
僕自身も、めんどくさそうな見合いの話はしたくない。
お互いを信じて、それぞれがんばって断るしかないよな。
僕は静稀の頭や背中を撫でて、静稀の気が済むのを待つことにした。
しばらくして静稀が僕を見上げる。
静稀が僕に何か言いたいのか、何も言いたくないのか……判断できない。
一緒にいるのに、お互いに途方に暮れている。
「……お見合いの話?」
思い切って、聞いてみる。
静稀は、明らかにびくっと肩をふるわせた。
その反応がおかしくて、笑ってしまった僕。
静稀も釣られて少し笑ってから、ほろほろと涙をこぼした。
「東京公演が終わったら、そのまま数日間、実家に帰ることになりました。」
……その数日中にお見合いするんだな。
「わかった。」
「私……。」
「うん。」
「……私……。」
「うん。」
「……ちゃんと断って、セルジュのところに帰りますから。」
静稀が涙に濡れた瞳で、力強くそう言った。
「うん。待ってる。僕も。」
僕も、ちゃんと断って、晴れ晴れと静稀を迎えるからね。
言葉にならない想いを込めて、静稀の額に口づける。
何度も何度も、場所を変えて口づけを続けた。
愛してる。
愛してるよ。
その夜、僕らは、いつも以上に激しく求めあった。
お互いに、そして自分自身に、愛を刻みつけるために……。
翌日からも、静稀は公演後毎日僕の部屋に来ていたが、お互いに一切お見合いの話はしなかった。