小悪魔な彼の想定外な甘い策略
その彼女は、私を見ながら

「あれ、鍵閉めなかったっけ……」

と、特に悪びれる様子もなく呟いて、はだけた胸元をかきあわせている。


「……すみれ、ちゃん」

戸惑いがちに私の名を呼ぶ蓮田さん。こんな状況なのに、名前を覚えていてくれたことがほんのり嬉しい私はバカだ。


「……すいません、ドアが開いていて……」

とりあえず、目のやり場に困りつつ謝るしかない。蓮田さんに乱れはないけれど、お隣の方、思いっきり着衣の乱れが……。


「あは、ごめーん、クローズの札は出したけど、やっぱ、鍵かけてなかったかぁ」


一人、明るい空気をまとった女の人が場に合わないテンションでそんなことを言い出す。

クローズの札?出ていたのかな……緊張していたし、入り口で梶山君とバタバタしていたし、見逃したのかもしれない。

……そんなことを考えながら、何とも答えようがなく、女の人と蓮田さんを交互に見比べる。
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