小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「あ、でもー、今回の靴下はね、余りにも色気がないから本気の忘れ物かもしれない、って思って……当たったね、ふふふ、えーと、何さん?」



ぴっと細い指を立てて、頬のところにあてる仕草をしてもぶりっこに見えないのは何故なんだろう。
そんなことを思いながら、小さな声で答える。


「……申し遅れました、山崎すみれ、と申します」


「あぁそうだよね、さっき真咲に呼ばれてたよね!かわいい名前って思ったのにすぐ忘れちゃうとか駄目だよね、あたし」


一体、どうすればいいんだろう。
この子は、彼女候補、とか言うからにはきっと蓮田さんの事が好きなんだよね。


「靴下、今持ってくるね」


くるり、と身を翻してとんとんと階段を上がっていく詩音さん。


その小さな背中を見つめていると、つくづく自分が場違いなのだと感じる。


さっきは、詩音さんのことを、『この場にそぐわない』とか勝手に考えていたけれど、部外者は、きっと私だ。
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