小悪魔な彼の想定外な甘い策略
そんな賭けをするふりをしながら、さっきのなっちゃんの話を思い出す。


……本当は、自分の気持ちが誰に向いているのか。


試着室での奮闘。
手を繋いで歩いた道。
一緒にお腹を抱えて笑った顔。
ふと見せる怖いくらい真剣な顔。
一瞬触れあった、くちびる。


……ヤバイな。
私は、賭けをするふりをしながら、さっきから一人の顔しか思い浮かべていない。


梶山君を好きになっても、明るい未来は望めないのに。

梶山君には、彼女がいる。
梶山君には、蓮田さんとの過ちがばれて幻滅されている。


……ダメじゃん。


絶望的な気持ちで夜空を見上げる。
澄んだ空気の中で、星が ちらほら見えることに驚く。


私、幸せになれるんだろうか。


どこに向かっているんだろうか。


思わず涙で視界がぼやける。

ごしごしと擦り、ついでに出てきた鼻をかむ。


チーーーーーーーーーン!!

色気とか、本当にどこかに置いてきたような音。

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