小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「……その爆音はまずいっすよ、さすがに」


不意に背後から低く響く声に、心臓をぎゅっと掴まれたような衝撃を受け、思わず心臓を押さえる。


「……え?」


恐る恐る振り返ると、見慣れた通勤路をバックに呆れた顔で佇む梶山君。


「な、にしてるの……?」


「いや、それ完全にこっちの台詞です。こんな夜中に一人で夜道をふらふらするとか……一体何してるんですか!」


……あ。怒ってる。
ほらもう、やっぱりあの日からこの人は私を生理的に受け付けない、とか思っているんだ。


酔っ払って、好きと勘違いした人とヤった尻軽アラサー。

そして、今もまた酔っ払って、ふらふらとか言われて。


「……ごめんなさい」


自分でも、何を言っているんだと思いつつ、憤る梶山君を見ていたら謝らずにはいられなくて。


こんな先輩でごめんなさい。
色々世話して貰ったのに、幸せになれなくてごめんなさい。

……ていうか。

そんな資格もないのに、会いたいなんて思ってごめんなさい。


でも、会えた。
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