小悪魔な彼の想定外な甘い策略
そこで、梶山君がへくしょん、と大きなくしゃみをする。


「会えた喜びで興奮して気付かなかったけど、ここ、寒いっすね、歩きましょう」


ごく自然に促され、並んで道を歩く。


「あ、さっきの話。もうね、すみれさんのキスマークを見た時点で、がっくりきて。相談に乗るふりして、隙あらば本気で落としにかかろうとしたんです、でも」


「……でも?」


「居酒屋で、すみれさんの口から、あの人の事が好きだと聞いてしまったから、思い出に1回デートに持ち込んで忘れようとしたんです」


並んで歩いているから、顔は見えないけれど。


そんな、梶山君の気持ちを思うと、切なくて申し訳なくて。


そこで、ふと気づく。

「あの人、って……梶山君、会ってないよね?蓮田さんに」


「あ」


小さな声が夜空に響いた気がした。
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