生神さまっ!
「けど、決定的だったのが……」



冬斗が一瞬…戸惑うような表情をする。

けどすぐに…決意を固めたのか、まっすぐに私に視線を向けた。




「…卑弥呼を、秋奈の手で殺した後」




どくん…っと、心臓が一瞬止まったように感じた。




「……秋奈は怖がってたでしょ、自分を」



「…気付いて、たの…?」



「秋奈が何かに怯えてるのは一目瞭然だった…でも、気づいたんだ。

一瞬、秋奈が…卑弥呼を刺した時、笑ってたことに」




……知らなかった。


ほおを触る…この顔が、笑っていた…?


………あの時のように?




「秋奈は確かに、卑弥呼を殺したことに対して…ただの喜びだけではない、別の喜びが入っていた」




「……うん。

…あの時、私…笑ってたことは覚えてないけど……


…卑弥呼の体が赤に包まれていくのを、この目でしっかりと見てた」




刺す直前。

目を、閉じようとしたのに。



…閉じれなかった。




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