生神さまっ!
群青に咲いた、桜。




「綺麗です、春乃様!」



「うん!すっごい可愛い!似合う!」




へへ、とちょっと春乃は照れたのか、ほおをポリポリとかく。



目にはまだ涙が残っていた。




「はは、俺達からもバースデープレゼントあるんだよなー。

なあ?」




「まあね」





夏樹と冬斗も?



…私には、ないなあ。



まあ…今日知り合ったばかりだからしょうがないとはいえ…




「ごめんね、春乃…私、なにも…」



「いいんだよ秋奈ー!

気持ちだけでじゅーぶん!」




そう、春乃が言って笑うと。



辺りが真っ暗闇になった。



前も、後ろも、右左、真っ暗。



なんにも見えない…!



焦って声をあげようと、口を開いた時。



私は



出るはずだった言葉を、失った。




「夜桜……」




闇の中…奥に見えるのは、桜。



どこからともなく光が現れて、その桜にスポットライトを当てたようにその部分だけが光る。



春乃がまた泣いたらしく、泣き声が聞こえた。




「きれー…」



瞳がその夜桜に吸い込まれる。



満開の桃色の桜。ひらひらと、今も散る。






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