腹黒司書の甘い誘惑
でも、チャンスだと思った。恋なんて言ったら恥ずかしいけれど、このくすぐったい気持ちはそうだなと思うから。

わあ、もう本当に恥ずかしい。どうしよう。
俯いて頬の熱を感じていると、隣にいる柊也さんがくすくすと笑った。

「気になる本があるんですか?」

「え、いや、違……」

「それとも、俺が気になる?」

目を細めた柊也さんにどきっとした。
体をこちらに向けて、そっと近づいてきた彼との距離に脈が速くなって息をのむ。
柊也さんはわたしの顔を覗くように見てきた。

「毎日ここへやってきて俺のことをちらちら見て、さすがにわかりますよ」

誘うような表情に男の人の色気を感じて、わたしの鼓動が更に速くなる。
最高に綺麗な顔が目の前で笑った。

「あ、あのっ」

息苦しいくらいどきどきして、どうにかなってしまいそうだった。
一目惚れです、とは言えないし。なんて言葉を返したらいいのだろう。

そうやってわたしはもじもじしていた。
この状況に胸を高鳴らせていた。
好き、までは言えないけれど「あなたが気になります」とはっきり伝えようかなって――

「毎日毎日、鬱陶しい」

「へ……?」
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