腹黒司書の甘い誘惑
わたしは彼を見つめてぽかん、とした。先程までの雰囲気とはまったく違うからだ。
軽蔑するような表情。冷たい瞳。

「どうしたんですか……?」

そう言ってしまうくらい別人のようだった。
瞬きを多くするわたしの顔を見て、相手は口許に嘲笑を浮かべる。

「恥ずかしいくらい平和ボケしてる人だな。鬱陶しい。この意味わかる?」

「鬱陶しい……」

「そう。毎日ここへ来て俺をじろじろ見て、鬱陶しいんだ」

「っ……」

大きな衝撃に、わたしは目を見開いた。言われていることを理解して体が凍りついた。
ここに来ていたことをそんな風に思われていたなんて。確かに、わたしは毎日ここへやってきて彼のことを見てしまっていたけど。そんな、鬱陶しいだなんてはっきり直接言わなくても……。
後退ると、彼は追うように間を詰めてくる。そして冷たく笑った。

「俺が気になるなら付き合う?」

「え……?」

受けたショックでわたしの声は震えていた。付き合うって、なに? 展開についていけない。
背中が反対側の本棚についてこれ以上後退できなくなった。
すると柊也さんは再び覗くように顔を近づけてきた。

「割りきった遊びでなら、俺は大歓迎だよ」
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