腹黒司書の甘い誘惑
勝手にイメージを作っていたのはわたしだけれど、あまりにも違いすぎて酷すぎる。

自分がとても惨めで恥ずかしくて仕方なかった。

「もうっ……」

涙がとまらないことも本当に情けない。
とめよう。とまれ。早めにわかってよかったじゃないか。

これがもっと後だったら、今より深く傷ついていたと思う。

わたしは指先で目元を拭った。そしてとぼとぼと歩き出した。

まだじわりと涙が浮かんでくる。
悲しい気持ちに押し潰されそうになる。

地面を歩いている感覚がなかった。

しっかりしろ、しっかりしろ、と心の中で言い聞かせて足を進めていく。
こんな泣き顔で事務室に戻るわけにはいかないから必死だった。

トイレに寄って鏡で顔を確認して、滲む涙を押さえ込んで俯きながら事務室のドアを開ける。
そして自分のデスクに着いた。

すると、美鈴さんがすぐに声をかけてきた。

「今日はいつもより早いわね。図書館から戻ってくるの」

「えっ……」

どきりとした。
美鈴さん、わたしが図書館に行っていること知ってたの?
動揺するわたしを見る美鈴さんはくすっと笑った。
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