腹黒司書の甘い誘惑
二人は今忙しい。
それなら、手のあいているわたしが行くべきだろう。でも本当、図書館には行きたくない。

しかし断る理由を告げることのできないわたしは、豊子さんが言う前に自分から声を出した。

「わたし……届けてきます」

「ありがとう理乃ちゃん。よろしくね」

豊子さんは優しく微笑んで手元に視線を戻した。


もしかして、これもわざと頼んだ荷物なのだろうか。

図書館へと向かうために中庭の通路を歩きながら先週の柊也さんの発言を思い出し、わたしは眉をしかめていた。

どうしてわたしに構うのだろう。馬鹿にしたように笑うくせに、どうして。

図書館の中は相変わらす静かだった。時間は五限目の授業中で、生徒はいない。

司書の仕事ってどういったことをするのだろう。
あまり人が来ない図書館での仕事は、のんびりとマイペースなのかも。

そう思った理由は、中に入ってすぐの読書用のテーブルににうつ伏せて眠っている柊也さんを見つけたから。

挨拶をしようとして止め、わたしは彼をじっと見つめる。
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