腹黒司書の甘い誘惑
細長く綺麗な指が最初にわたしの頬に触れて、それから滑るように掌が触れた。

寝ぼけているのだろうか?
わたしを捉えている瞳がぼんやり、瞬きをした。

体が動かない。
その整った顔と、なんとも言えない雰囲気に心を奪われて相手を見つめる。

ゆっくりとお互いの距離が縮まって、柊也さんの視線がわたしの口許にうつった。

どうして……なんで引き込まれてしまうんだろう……。

とんでもない色気の前でわたしはただぽうっとなっているだけだった。

これ以上近づいたら唇が重なってしまうのに――

そう思ったギリギリの距離。ぱちり、と瞬きをした柊也さんがわたしに気づいた。

「……何やってんの?」

「は……? な、なにって……あ、あなたがこんなっ……」

わたしは自分が無抵抗だったことに気づき、慌てて彼から離れた。やだ、なに今の、信じられない!

動揺して瞬きを多くしながら柊也さんを見ていると、彼は状況をのみ込んだのか笑って背伸びをした。

「危ないな、うっかり襲うところだった」

「なっ……」
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