腹黒司書の甘い誘惑
「あ、ありがとうございます」

お礼を言ったら、何故か柊也さんはため息を吐いてからわたしを見た。

「今日は終わり。もう事務室戻っていいから」

冷淡な態度でそう言った柊也さんは、わたしから視線をそらしてすぐに歩いて行ってしまった。

わたしは立ち尽くしたまま、色々と困惑していた。

あの柊也さんがわたしに飲み物をくれた。態度は嫌な感じだったけれど。

よくわからない。

わたしは持っているお茶を見つめた。
何なんだろう。

いつも手伝いに来ているから労いとか?
いや気まぐれ、か。
意味なんて特にないのかもしれない。

だけど少し……嬉しいと思ってしまう。

そして気になるのは、柊也さんと理事長の関係だった。

わたしが気にしてもしょうがないけれど……。
豊子さんと美鈴さんは何か知っているだろうか。

二人の仲が険悪だというのは間違いないと思うから『兄弟なのに大違い』なんて、もう柊也さんの前で言わないようにしよう。

わたしは息を吐き、歩いて事務室へと戻った。
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