腹黒司書の甘い誘惑
今週ずっと手伝っていたのに、今日だけ来るなって何なんですか、それ。
と、思うのは別に普通だよね。

誰だって気になるよね。

たどり着いた図書館の前で、書類を挟んだファイルを抱えるように持つ腕に力を入れた。

足を動かし、館内へと入る。

いつも通り静かな空間を進み、一番最初に視界に入った本棚からその次にカウンターを見た。

あっ、と気づいた瞬間と同時に柊也さんと視線が合う。

柊也さんは「何でいるんだ」という顔をして、それにわたしは一瞬怯んだけれど、彼が手に持っているものを見て目をぱちぱちとさせた。

「……紙芝居?」

それは、小さい頃に見たことがある大判の紙芝居の絵。

「何しに来たんだ。今日は手伝いはいいと言ったはずだよ」

そう言って眉根を寄せた柊也さんは、紙芝居の絵を茶色いケースにしまっていく。

その様子を見つめながら、わたしはここへ来た理由を説明する。

「用具の書類にサインをもらいに来たんです。昼間忘れてしまったので……」

どうして紙芝居? と気になって仕方ない。

それが視線で伝わったのか、柊也さんはばつの悪い顔をしてケースを置く。

そしてわたしの元へ歩いてきた。
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